【中国雑感コラム】EV(電気自動車)に注目 - その2、BYD日本進出戦略

作者:TJCC日付:2023-02-20 14:05:00

中国雑感コラム「EV(電気自動車)に注目 - その2、BYD日本進出戦略」

先日、BYD Auto Japanの社長講演を聴講したので報告したいと思う。

中国の自動車市場ではEVが飛躍的に伸びており(2017年EV比率2.7%→2022年25.6%)、今や4台に1台はEVが販売されている。それに比べ日本では2022年のEV比率が1.7%と大きく出遅れている。

そのような状況下、今やあのTeslaを抜いて世界No.1のEV販売台数を誇るBYDが、満を持して日本の乗用車市場に上陸してきた。実はBYDは日本では2015年からEVバスを販売しており、7割のシェアを誇っているが意外と知られていない。

まず1月31日に小型SUVタイプの「ATTO3」を発売、年内に更に2車種を販売するとのこと。「ATTO3」の販売価格は440万円(消費税込)で、補助金を加味すれば300万円台と非常にお手頃な価格設定となっている。

また、デザインは元アウディやベンツのデザイナーが担当、生産では金型は日本メーカーが生産、20年以上のバッテリー技術の蓄積と商品は質の高いものと思われるが、マーケティング戦略が成功の鍵になりそうである。

日本の自動車市場は国産車主体(9割以上が国産車)の、世界の中でも非常に特殊な市場である。その1割未満の輸入車市場で売れているのはドイツを中心とした欧州車のみである。そして自動車は家に次ぐ高価な買いものであり、従来韓国などのアジアの車は日本では受け入れられなかった歴史がある。今や“Made in China”の家電やスマホが普通に受け入れられている現在、BYDがどのように受け入れられるのか非常に興味深い。(NT)

TJCCコンサルティンググループ 田辺尚裕