海南等9地域における外資による独資病院設立許可の試行展開に関して

作者:TJCC日付:2025-01-06 11:31:20

20249月に国の関連部門より「医療領域における拡大開放試行業務展開に関する通知」が公布され、北京、天津、上海、南京、蘇州、福州、広州、深圳、海南の9地域において外資に独資病院の設立を認める試行を展開することが明確に示されました。そして11月には国家衛生健康委、商務部、国家中医薬局、国家疾控局の連名で「独資病院領域の拡大開放試行業務方案」が制定され、外資が独資病院を設立するために備えているべき条件や政府の行政管理部門による管理措置などがさらに明確化されました。下記に明確化された条件及び管理措置をまとめました。

●条件設定

♦投資者に対する条件

  ○外資独資病院を申請する外国投資者は、独立して民事責任を負うことができる法人あり、また直接的または間接的に医療投資及び管理の経験を有している必要がある。

  ○投資者には国際的に先進的な病院管理理念・管理モデル・サービスモデルを提供できること、国際的先端水準の医学技術と設備を提供できること、現地の医療サービス能力・医療技術・医療施設の不足を補なって多様なサービス提供体制を拡充できることが求められる。

 

♦設立/運営面における条件

外資独資病院は「中華人民共和国基本医療衛生及び健康促進法」、「中華人民共和国生物安全法」、「中華人民共和国データ安全法」、「医療機構管理条例」、「中華人民共和国人類遺伝資源管理条例」などの法律法規に則った設立・運営が求められ、加えて以下の条件を満たす必要がある。

  ○病院の経営性質は営利または非営利とする。

  ○病院の種類は総合病院、専門病院、リハビリ病院、病院のレベルは三級(大学付属病院等、中国で最上位のレベル)とする。精神病院、感染症病院、血液病病院、東洋医学病院、東洋・西洋医学統合病院、少数民族病院の設立は不可。

  ○病院の診療科目に「血液内科」を含めてはいけない。

  ○医療リスク、倫理的リスクの高い診療活動を行なってはならない。これには人体臓器移植技術、生殖補助医療技術、出生前診断、精神科入院治療、腫瘍細胞治療といった新技術を用いた試験的治療等が含まれる。

  ○病院は規定に基づき外国人医師、香港・マカオ・台湾医師、その他の医療専門技術者を短期の形でも採用してよい。ただし、病院全体を管理する人員および医療専門技術人員において中国出身者の割合が50%未満であってはならない。

  ○病院の情報管理システムを所在地域の医療サービス監視プラットフォームに接続させていなければならず、また電子カルテ、医療機器などの情報を保存するサーバーは中国国内に設置していなければならない。

  ○「医療機構医療保障定点管理暫定弁法』(国家医療保障局第2号令)に基づき、医療拠点管理は所有形態に限らず一律に扱われる。つまり規定に符合する外資独資病院であれば、プロセスを踏んだうえで医療拠点として申請することが可能。また、病院が国内外の商業健康保険と連携することを推奨する。

 

●管理措置

♦参入管理

外資独資病院の設置許可および営業登記は、まず市レベルの衛生健康行政部門が一次審査を行ったのち、省レベルの衛生健康行政部門が審査を行なう。条件を満たしている場合、省レベルの衛生健康行政部門が医療機構設置許可書および医療機構営業許可証を発行する。

♦営業管理

衛生健康行政部門が外資独資病院も医療品質安全管理の範囲に組み込み、外資独資病院が病院審査評価に参加することを奨励する。

♦監督管理

関連する省レベルおよび市レベルの衛生健康行政部門が実際の状況に応じて関連法律法規に基づき管轄地域の監督責任を履行する。

2000年に中国において外資との合弁による医療機関設立が許可されてから20年余り経ち、現在60以上の外資合弁医療機関が存在しています。これらの合弁医療機関のうち今回の試行対象の9地域に所在しているものも多いことから、今回の試行対象地域は外資医療機関管理の経験が蓄積されており、管理レベルが比較的高いですし、今回の試行における政策実行、経験総括、制度改善も円滑に進みやすいでしょう。またこれら9地域は人口が多く、医療サービス需要が高いことに加え、医療施設の基盤が整備され、ビジネス環境が良好であることから、外資独資病院の誘致にも向いている地域と言えます。