海南の「封関運営」に向けて加工付加価値に対する免税政策が新公布
作者:TJCC日付:2025-08-29 11:45:00
2025年7月23日、海南自由貿易港の建設推進に向け、国務院の同意を経て税関総署より「中華人民共和国税関 海南自由貿易港における加工付加価値関税免除貨物徴税管理暫定弁法」(税関総署公告2025年第158号)が公布されました。
本弁法は海南自由貿易港の「封関運営」の開始日(2025年12月18日)より施行されます。本弁法が施行されるまでは現行の「税関による洋浦保税港区における加工付加価値貨物内販徴税管理暫定弁法」(署税函[2021]131号)が引き続き有効となります。
1、新しい弁法の主な内容
●語句及び概念の定義
・「加工付加価値関税免除政策」とは?
海南自由貿易港内の奨励類産業企業が生産する、輸入材料を含む貨物で、海南自由貿易港内での加工による付加価値が30%以上の貨物は、海南自由貿易港から中国国内へ移動させる際の輸入関税が免除される。輸入段階の増値税および消費税は規定に則り課税される。
・「奨励類産業企業」とは?
奨励類産業企業とは、海南自由貿易港の奨励類産業目録で規定される産業プロジェクトの生産加工業務に従事する企業を指す。奨励類産業企業は海南自由貿易港に登録/登記し、独立法人資格を有し、海南省で設置される関連公共情報サービスプラットフォームへの登録を行っている必要がある。
・「加工による付加価値が30%以上」とは?
登録企業が、海南自由貿易港内で輸入材料を含む貨物を製造・加工した際の付加価値部分が、輸入材料と中国国内で調達した材料の価値の合計の30%以上に達している状態を指す。
・「輸入材料」とは?
中国国外から海南自由貿易港に入る、輸入税の納付手続きが完了していない貨物を指し、保税貨物および「ゼロ関税」貨物が含まれる。海南自由貿易港海関特殊監督区域への輸出として申告された貨物に対しては保税監督管理措置が実施される。
●「加工による付加価値が30%以上」を判定する計算式
[(貨物の中国大陸への販売価格 − ∑輸入材料価格 − ∑中国国内調達材料価格)
÷ (∑輸入材料価格 + ∑中国国内調達材料価格)] ×100% ≧ 30%
・貨物の中国大陸への販売価格
登録企業が中国国内へ販売する、輸入材料を含む製造・加工済貨物の取引価格を基準に決定する。
・輸入材料価格
登録企業が輸入した材料の取引価格を基準に決定され、その材料が中国国内の輸入地点に到着するまでの輸送費および関連費用、保険料も含む。
・中国国内調達材料価格
公認会計基準に基づく価格で、登録企業が中国国内から購入した材料の工場到着価格を基準に決定されるが、中国国内の増値税は含まない。海南自由貿易港で自社生産された材料の価値は、認定を経ることで、中国国内調達材料総額から控除できる。
●海南自由貿易港の税関特殊監督区域、保税監督施設内の企業および加工貿易に従事する企業が保税輸入した貨物は、海南自由貿易港内において生産工程の上下流にある別の企業により加工・製造で付加価値が生じた場合も、その付加価値部分を累積して計算してよい。
「累積で加工付加価値が30%以上」を判定する計算式:
[(貨物の中国大陸への販売価格 − ∑関わる累積企業の輸入材料価格 − ∑関わる累積企業の中国国内調達材料価格) ÷ (∑関わる累積企業の輸入材料価格 + ∑関わる累積企業の中国国内調達材料価格)] ×100% ≧ 30%
・計算式の中の「関わる累積企業の輸入材料価格」とは、各登録企業が生産に投入した輸入材料価格の合計、「関わる累積企業の中国国内調達材料価格」とは各登録企業が生産に投入した中国国内調達材料価格の合計を指す。
●企業が初めて加工付加価値関税免税政策の適用を申請する際は、海南省商務庁の指定組織に申請および関連資料を提出する。市県による初期審査及び海南省商務庁と海南省内の関連組織の審査同意を経て、海口税関により税関監督条件を満たすとの評価がされたうえで、海南省の関連公共情報サービスプラットフォームにて税関登録する。
●海南自由貿易港から中国国内に入れられる貨物が加工付加価値関税免税政策を享受する場合、事前に登録企業が規定に従って税関に対して加工付加価値申告手続きを行う必要がある。税関は登録企業に対して電子帳簿管理を実施し、法に基づき企業を検査を展開する。
●加工による付加価値が30%以上の貨物を中国国内へ販売するあたり、以下のいずれかに該当する場合は輸入関税が免除されない。
・輸入材料またはその加工後の製品が関税割当管理、貿易救済措置、関税減免義務停止、追加関税措置、報復関税の追加関税措置の対象である場合(追加関税がすべて排除された場合を除く)。
・混合(加水・希釈含む)、ラベル貼付、包装交換、分割、組合せ包装、先端加工、殻除去、簡単な研磨または簡単な切断など、1種類または複数種類の小さな加工や処理しか行なわれていない。
・その他、関連規定により輸入関税が課されるもの。
2. 今回の弁法による従来との変化一覧表
| 分野 | 現行政策(131号文) | 今回の弁法(158号文) | 変化内容 | 
| 適用範囲 | 洋浦保税港区で先行実施される13の重点園区内の加工貿易企業 | 海南島全体の加工貿易企業 | 範囲拡大 | 
| 企業参入 | 主事業収入の60%以上が奨励類産業であること | 60%以上という要件の撤廃 | 門戸緩和 | 
| 輸入材料範囲 | 保税貨物のみ | 保税貨物&「ゼロ関税」貨物 | 範囲拡大 | 
| 付加価値 計算方法 | 自社生産材料の価値が控除できる点に言及なし | 海南での自社生産された材料の価値をコストから控除可能 | 条件緩和 | 
| 付加価値の 累積ルール | 区内企業の転廠に限り累積可 | 海南島内の上下流企業の付加価値部分を累積可 | 産業チェーン支援強化 | 
| 排除対象 | 関税割当商品、微小加工 | 貿易救済、追加関税の商品も排除に追加 | 細分化 | 
| 政策目標 | 試行によるストレステスト、 | 封関後の島全体での展開、 | 戦略引上げ | 
3. 企業の対応について
- 製造業企業は、前もって輸入した保税材料、ゼロ関税の材料の加工生産を優先的に配置し、島全体で累積可能となるルールを利用して上下流の生産能力を統合して、免税メリットを最大限享受できるようにするようになさってください。
- 付加価値の割合を正確に計算して、価格データが税関の審査規則を満たす状況を確保し、微小加工や関税割当商品であることが原因で免税資格を失うことがないように注意してください。
 
      
 
    