【中国雑感コラム】中国は日本酒ブーム

作者:TJCC日付:2022-05-31 10:50:00

中国雑感コラム「中国は日本酒ブーム」

今、中国では「日本酒ブーム」を迎えています。知人の輸入業者曰く“獺祭”が最もポピュラーで、1本10万円以上の大吟醸も人気があるとのことです。ジェトロの統計によると、2016年以前は米国、香港、韓国が主な日本酒の輸出先でしたが、2017年以降は中国向けが一気に増加し、2021年には最大の輸出国となっています。

その背景として、新型コロナ以前に旅行先として日本へ行く人が増加し、日本食や日本酒に興味を持つ人が多くなったことが挙げられます。また、白酒(アルコール度数50度以上の蒸留酒)よりアルコール度数が低くて飲みやすいために健康面を考えて日本酒を手にする人が増えたこともあります。

ところで日本酒の酒蔵は徐々に減っているのが実情ですが、それでもその数は全国で1,400以上、銘柄は1万以上といわれています。日本ではお酒の好みの多様化、若者のアルコール離れが話題となっていますが、それでも日本酒は日本人の日常に密着しているお酒であり、中国で認められてきていることは嬉しいことです。

日本酒は酒蔵ごと、銘柄ごとに違う味わいを楽しめますが、産地によってもある程度の傾向があらわれています。米どころ新潟県は「淡麗辛口」、米の産地として知られる新潟県は、酒蔵数がもっとも多く酒どころとしても有名です。日本アルプスの天然水仕込みの長野県は「濃醇甘口」、長野県は自然が豊かで、米や水、気候が日本酒造りに適している地域です。屈指の酒どころ灘を擁する兵庫県は「濃醇辛口」、兵庫県の灘は古くから日本一の酒どころとして知られており、「山田錦」をはじめとした酒米の大生産地としても有名です。その飲み口はサラリと軽いのが特徴です。

日本酒は米・水を原料としているため、各地方・産地の自然や気候によって特徴があらわれています。また、日本酒は産地ごとの特徴に加えて、酒蔵や銘柄によっても異なる表情を見せてくれるお酒です。中国でも1本の日本酒の背景にある、産地や酒蔵、銘柄の特徴に興味を持って、日本酒を楽しんでもらいたいものです。(NT)

 

TJCCコンサルティンググループ 田辺尚裕