【中国雑感コラム】EV(電気自動車)に注目 その1

作者:TJCC日付:2022-11-30 16:39:00

中国雑感コラム「EV(電気自動車)に注目 その1」

2050年の「カーボンニュートラル」実現に向け、各国がいろいろな取り組みを展開している中、日本の軽EV商用車に注目してみた。

日本車メーカーはEVでは出遅れの感があるが、三菱自動車が、生産をいったん止めた商用軽EVの「ミニキャブ・ミーブ」を再発売するという。それだけ需要の高まりがあるということであり、開発・生産投資をかけずに時代の潮流に対応することができる。

さらに驚くことに、新興EV企画のASF(東京・千代田)が企画・設計し、中国五菱新能源が生産する軽商用EVを2023年に日本市場向け専用に発売する。五菱新能源は広西汽車集団傘下で、日本のASFと組んで約150万円の軽自動車のバンを物流企業(佐川急便など)に売り込むというものである。積載量は350キログラム、1回の充電の航続距離は230キロメートルで宅配などの用途に使う。電池は世界を席巻している中国寧徳時代新能源科技(CATL)製を採用する。佐川急便で使う車両の供給を手掛けるのを機に、日本の商用EV市場は大きく伸びるとみて専用車の発売を決めた。宅配用の商用車には正にうってつけといえる。

従来日本市場では、中国の自動車は受け入れられず、新規参入障壁が高かった(一部公共バス等に限られていた)。しかしながら、日本勢もEVシフトを急ぐが、品ぞろえと低価格化で出遅れた。その間隙を突く形の中国EVが商用車のみならず乗用車にも広がる可能性があり、中国のEV大手の比亜迪(BYD)は2023年に日本の乗用車市場にSUV、小型車、フラッグシップのEV3車種を投入する計画で本格参入を図る。日本におけるEV比率はまだ5%未満であるが、近い将来日本の“クルマメーカー勢力図”が大きく変化する予感がする。(NT)

 

TJCCコンサルティンググループ 田辺尚裕